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広島高等裁判所 昭和58年(ネ)1号 判決

控訴人 甲野花子

〈ほか四七名〉

右四八名訴訟代理人弁護士 飯田信一

右訴訟復代理人弁護士 寺垣玲

被控訴人 宗教法人大観宮

右代表者代表役員 内村文伴

右訴訟代理人弁護士 中村尚彦

同 浅見敏夫

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人は控訴人らに対しそれぞれ別紙請求金額・認容金額一覧表の認容金額欄記載の各金員及びこれに対する控訴人甲野春子、同甲田松子については昭和五九年五月二五日から、右控訴人らを除くその余の控訴人らについては昭和五五年一〇月一一日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人甲野春子、同甲田松子と被控訴人との間では被控訴人の負担とし、右控訴人らを除くその余の控訴人らと被控訴人との間ではこれを五分し、その二を右控訴人らの、その余を被控訴人の各負担とする。

五  この判決は控訴人ら勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一申立

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は控訴人らに対しそれぞれ別紙請求金額・認容金額一覧表の請求金額欄記載の各金員及び右各金員に対する昭和五五年一〇月一一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え(当審において、控訴人甲野花子、同甲野春子、同乙山夏子、同丙川一郎、同丁原秋子、同戊田冬子、同丙川三郎、同甲田松子、同乙田五郎は、不法行為による損害賠償請求(遅延損害金請求を含む。)につき一部請求を減縮し、控訴人らは、不当利得返還請求(遅延損害金請求を含む。)を選択的に追加した。)。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人

1  本件控訴(当審における新請求を含む。)をいずれも棄却する。

2  控訴費用は控訴人らの負担とする。

第二主張

一  請求原因

1  被控訴人は、内村健一を代表者として、昭和四八年一一月二二日設立登記された宗教法人である。

2  被控訴人は、昭和五二年九月頃「太子講」及び「大師講」と称する別紙講目番号(1)ないし(5)記載の講(以下「本件各講」という。)を開設し、運営した。なお、右講は、昭和五四年五月一一日施行された「無限連鎖講の防止に関する法律」(以下「無限連鎖講防止法」という。)によって禁止された。

3  本件各講の仕組は、次のとおりである。

まず、本件各講に加入するには、先輩会員に別紙講目録の先輩講員への講金欄記載の講金(贈与金)を送金し、次いで、被控訴人に右送金証明書を添えて同目録の大観宮への奉賛金欄記載の奉賛金を送金する。そうすると、被控訴人から右送金者に講員証と新会員二名を講員として勧誘するのに必要な関係書類が送付されて来るので、これにより子会員二名を勧誘し、その各子会員が更に孫会員二名を勧誘して順次会員を増加させる。そして、後順位の会員が順次増加し、会員の順位が上ると、同目録の段数の変化による講金受取りのしくみ欄記載のとおり後順位会員より贈与金を受領することができる。

4  控訴人らは、別紙加入講・送金等一覧表の(二)欄記載の講に加入していたものであるが、各加入講につき同一覧表の(三)欄記載の年月頃、先輩会員に対し同一覧表の(四)欄記載の金員を、被控訴人に対し同一覧表の(五)欄記載の奉賛金をそれぞれ送金し、その後、後順位会員より贈与金として同一覧表の(六)欄記載の金員の送金を受けた。

5  本件各講は、以下に述べるとおり、違法であり、公序良俗に反するものである。

(一) 講の仕組自体の違法性

(1) 講の破たんの必然性

本件各講の組織原理は、会員が永久にねずみ算式に増加することにあるが、かかることが不可能であることはいうまでもないから、本件各講は、その仕組上、必然的に破たんするものである。

(2) 多数の経済的損失者の発生

本件各講の仕組から明らかなように、本件各講が破たんした場合は、必然的に多数の経済的損失者が発生する。

これを太子講で考えると、五段講、八段講いかんにかかわらず破たんの際の下二段の講員は、出資金を全く回収することができず、出資金全額につき損害を被る。また、下三段目に昇っても孫会員が三名以上できないと、出資金を回収できず、差額につき損害を被る。これらの経済的損失者の数が利得者の数より圧倒的に多くなるのは、講の仕組自体から明白である。

大師講の場合もほぼ同様に多数の損失者を発生させる。すなわち、下三段までに位置する者は、その段によって損害額は異なるが、いずれも出資金を全額回収することはできず、それぞれ損害を被ることになる。これら損失者が利得者に比し、圧倒的に多いことは、太子講と同様である。

なお、以上のように講破たんの際には、多数の経済的損失者が必然的に発生するにもかかわらず、本件各講の仕組によれば、被控訴人には、一切の損害が発生しない。

(3) 社会悪の多発

右に述べたとおり、講の破たんにより個々の加入者が経済的損害を被むることになるが、講の破たんは、更にそれ以上に深刻な多種多様の社会悪を発生させる。

例えば、切腹自殺者を出すという悲惨な事件をはじめとして、切腹自殺を図って病院へ運びこまれて一命をとりとめた者、割腹自殺を図ろうとしたが、友人の説得で思い止まった者などがある。

その他、夜逃げ、倒産、裁判沙汰、暴力沙汰、村八分、友人、知人、夫婦間などにおける信頼関係の根本的な破壊、ノイローゼ、病気、離婚など、数限りない現象が全国的に発生した。

一方、利益を得た少数会員についても、後続会員に対する良心の呵責から、利益をはき出した者もあり、また、利得金を遊興費に乱費して堕落するなど、結局、利益者にとっても悪影響を及ぼすことになった。

以上の諸事実は、内村健一が第一相互経済研究所(以下「第一相研」という。)の名称で主宰していた講において発生したものであるが、本件各講は、右講と全く同種の講であるから、本件各講においても同様の事態が発生することは当然である。

(4) 講の非生産性、射幸性

本件各講は、出資金の額に比して、極めて多額の金員を何らの生産活動もなく入手しうる仕組になっているのみならず、これらの金員獲得いかんが、もっぱら後続会員の勧誘獲得いかんにかかっており、賭け的要素が強く、射幸心をあおり、ひいては国民の健全な勤労意欲を低下、又は喪失させるものである。

(二) 講主宰目的の違法性

(1) 被控訴人設立の目的

内村健一が被控訴人を設立した真の目的は、税法上の特典の利用にあったのであり、その後においても、第一相研の莫大な全財産を隠匿するために被控訴人を利用しているのであって、被控訴人は、内村一族のための機関として設立したものにほかならない。

(2) 講主宰の目的

被控訴人が本件各講を主宰した真の目的は、金員利得にあったのであり、被控訴人の標榜する会員相互間の助け合いや神社、仏閣の修復費用の捻出という目的は、真の目的を隠蔽するための大義名分に過ぎない。

(三) 勧誘手段の違法性

(1) 被控訴人は、本件各講の勧誘を主として第一相研の下で勧誘を専門としていたいわゆる思想普及員によって行なっていたが、同人らは、経験を重ねるに従って、巧妙な手口を使うようになった。その中でも特筆すべきは、現金に似せた紙片を入れた現金書留封筒を多数用意して持ち歩き、これを示しながら、加入の勧誘をおこない、入会すれば短期間に次々に現金書留封筒が送られてくるように思い込ませる方法であった。

(2) 更に、被控訴人は、本件各講のパンフレットで、(イ) 加入してから最上段にランクされるまでには相当の日数がかかること、(ロ) 事務局の処理能力に限度があること、(ハ) 子供が次々に生まれるので、人口は将来に向かって無限であること、(ニ) 一人で何口も加入しうるし、再加入、再々加入もできること、を根拠に講が行き詰まることはないと宣伝して、加入の勧誘をしている。

しかし、すでに述べたとおり、本件各講は、必然的に破たんするものであり、したがって、右宣伝、勧誘が虚偽かつ違法なものであることは明らかである。

(3) 控訴人らは、右のような、直接、間接の違法な勧誘を受けて、加入すれば簡単に子講員ができ、何箇月か後には多数人から多額の金員の送付を受けられるものと誤信させられて入会したものである。

(四) ネズミ講についての裁判及び特別法の制定

(1) いずれも本件各講と同種の講につき、長野地方裁判所は、昭和五二年三月三〇日、公序良俗に反するとして、講主宰者である内村健一に対し、入会金全額を講加入者らに返還するよう命ずる判決をなし、静岡地方裁判所は、同五三年一二月不法行為に該当するとして、右内村に対し、入会金及び先輩会員に対する贈与金全額と同額を講加入者らに賠償するよう命ずる判決をなした。これら二つの判決は、いわゆるねずみ講を企画実施する行為の違法性を認めたものである。

(2) 無限連鎖講防止法が昭和五三年一一月に制定、公布されたが、右法律が制定されるに至った経緯は、ねずみ講のもたらした多種多様な社会悪の発生にある。

同法は、懲役刑を含む罰則をもって、いわゆるねずみ講を全面禁止しており、このような講の違法性を明確にしている。

6  被控訴人の故意

被控訴人の当初の代表役員内村健一及び現在の代表役員内村文伴は、いずれも長年間第一相研の会長、副会長としてねずみ講を主宰し、その講が大きな社会問題に発展し、ついに法律で禁止されるに至るまでの経緯を熟知しうる立場にあり、また、昭和五二年三月には、右長野判決が出て、一層講の違法性を知っていたと解せられるところ、本件各講は、右判決の後に企画実施されたものであるから、被控訴人に故意のあったことは明白である。

7  控訴人らは、前記のとおり本件各講に入会し、先輩会員に対する贈与金及び被控訴人に対する奉賛金を送金し、出捐したが、一部の控訴人らは、後輩会員より贈与金の送金を受けているので、右出捐額よりこれを控除した別紙加入講・送金等一覧表の(七)欄記載の金員相当額の損害を被ったことになる(なお、控訴人甲野花子は、同一覧表の(二)欄の(い)の講の加入により後輩会員より八万円の送金を受け、三万円の利益を得ているので、これを同欄の(ろ)、(は)の各講の損害各一万円及び同欄の(に)の講の損害の内金一万円に充当すると、同控訴人が被った損害は、右(に)の講加入に係る一九万円となり、控訴人乙山夏子は、同欄の(い)の講加入により後輩会員より八万円の送金を受け、三万円の利益を受けているので、これを同欄の(ろ)の講の損害の内金三万円に充当すると、同控訴人が被った損害は、右(ろ)の講加入に係る二万円となり、控訴人丁原秋子は、同欄の(ほ)の講の加入により後輩会員より六万円の送金を受け、一万円の利益を得ているので、これを右講の直後に加入した同欄(へ)の講の損害の内金一万円に充当すると、同控訴人が被った損害は、同欄の(い)、(ろ)、(は)の各講加入に係る各五万円、同欄の(に)の講加入に係る四〇万円、同欄の(へ)の講加入に係る四万円、同欄の(と)、(ち)の各講加入に係る各三万円の合計六五万円となる。)。

8  被控訴人は、故意により、違法な本件各講を主宰して控訴人らに奉賛金及び贈与金を送金させ、前記損害を与えたものであるから、不法行為に基づいて右損害を賠償する義務がある。

9  また、控訴人らが損害を被った前記各講の加入契約は、それぞれの講の仕組、目的、社会に及ぼす影響など、いずれの面からみても公序良俗に反するものであり、いずれも民法九〇条に違反するものとして無効であるから、被控訴人は、控訴人らが右契約に基づいて送金した奉賛金及び贈与金を不当利得として返還する義務がある。

しかして、控訴人らが本件各講加入の際にどの上位者にいくらの金員を送付するかは、すべて、被控訴人の指図によるものであり、右金員の送付が講加入の絶対条件になっていることにかんがみると、上位者への金員の送付は、本来なら本件各講主宰者である被控訴人を経由して送付されるべき金員を加入者に直接送付させることによって、事務手続の簡素化を図ったに過ぎないと見るべきであるから、上位者に送付した金員も奉賛金と並んで、被控訴人の利得に含まれるものというべきである。

仮に、奉賛金のみが被控訴人の利得であるとしても、被控訴人は、本件各講が公序良俗に反する無効なものであることを熟知したうえで、本件各講を主宰し、奉賛金の利得をしているから、いわゆる悪意の受益者であり、民法七〇四条後段により、損害金も含めた金員(結局、損害賠償額と同額)を返還する義務を負うものである。

10  よって、控訴人らは、被控訴人に対し、不法行為又は不当利得に基づいて、別紙加入講・送金等一覧表の(七)欄記載の各金員及びこれに対する訴状送達の翌日である昭和五五年一〇月一一日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1ないし4の事実は認める。

2  同5のうち、無限連鎖講防止法が公布、施行され、長野、静岡各地方裁判所が控訴人ら主張のような判決をしたことは認めるが、その余は争う。

3  同6ないし10は争う。

三  被控訴人の主張

1  本件各講の仕組自体の違法性について

本件各講においては、ある時点で見ると、子講員ができていない入会者がおり、その者は、入会時の拠出金も回収していないが、右の者を被害者というのは誤りである。なぜなら、子講員の獲得期間には、全く制限がないのであり、被控訴人が入会登録業務を継続している限り、いつでも子講員を入会させることができるからである。換言すれば、被控訴人が右業務を停止しない限り、子講員の獲得は、いつでもできるのである。被控訴人は、無限連鎖講防止法の公布施行という国家権力によって本件各講が禁止されるまで右業務を停止したことは全くなかったのであり、右法律が施行されなければ、将来も同業務を停止することはなかったのである。したがって、ある時点で子講員ができていない者も、その後に子講員を入会させることはもとより可能であり、入会者が孫取金を取得すれば、入会時の拠出金を回収し、かつ多少の利益が得られるのである。そして、孫取金を取得するために必要な後輩講員数は、六名以内で、少人数の連続で済むのである。結局、現実の時間的要素を考慮すると、被害者の発生は考えられないのであり、また後輩講員が幾何級数的に増大連続しなくても、少人数の連続さえできれば、入会時拠出金を回収したうえ、若干の利得さえ入手できるのである。

孫取金取得の場合は、比較的少人数の連続で足るわけであるから、その連続について、偶然性が存在するものとはいえない。

また、入会者は、入会するに際し、先輩講員の住所、氏名を十分承知したうえで送金をするのであり、その送金によって受領者を助け、やがて自らも後に後輩講員から送金を受けて助けられるという助け合い、相互扶助として送金をするのである。したがって、本件各講の講員相互間の送金及び受領の関係は、明らかに特定の講員相互間のルールに基づいた金員授受であり、かつ助け合いとしての金員授受である。このような金員授受の関係は、一方の偶然の利得が他方の偶然の損失を犠牲とするものという関係とは、そもそも全く異質のものであることは明白であり、著しく射幸的なものとして反社会性がある仕組とは、本質的に無縁である。

控訴人ら主張の自殺、夜逃げ、倒産等は、多数会員中のごく少数の極めて例外的な現象であり、また、このような例外現象については、講の定めるルールに違反して子会員を勧誘したり、極端な利益追求のためあくどいやり方をとったとか、あるいは悪質な勧誘者の存在など被控訴人に帰責事由のない特別の事情が介在しているものである。したがって、このような極めて例外的な現象で、かつ特別の事情が介在しているものをもって、一般的に本件各講全般の性格を判断することは、大きな誤りである。

かえって、講に入会したことによって、火災にあった会員が子会員の助けによって家を建て直すことができたり、また、手形を落とせるか否か困惑していたところ、子会員の送金によってこれが可能となったなど、会員が助けられた事例が数多く存在するのである。

2  本件各講の主宰目的の違法性について

(一) 被控訴人は、昭和四八年一一月熊本県阿蘇郡阿蘇町に設立されたものであるが、霊山阿蘇の南に「日の宮幣立宮」があり、この「幣立宮」は、地球上の人類五族が一体となる基点とされていた。内村健一は、同人に思想的影響を与えた西村展蔵とともにこの「幣立宮」の熱烈な信奉者であった。そして、右西村は、「心・和・救け合い」を根底の理念とする「天下一家の思想」を説いていたのであるが、同時にこの思想とともに「宗教一に帰さざれば平和なし」という宗教帰一論も説いていたのである。そこで、この思想に共鳴した内村は、平和であるべき人類史の大半が戦争の歴史であり、しかもその原因のほとんどで宗教に起因している事実からみて、天下一家の思想に基づく宗教帰一こそ平和への道であると発願して、平和の聖地として、内宮としての右「日の宮幣立宮」に対するものとして、外宮にあたる大宇宙自然の御霊を祀る「水の宮」としての被控訴人を設立して、代表役員となった。

(二) 内村は、昭和五二年四月、信徒とともに、世界平和を祈願するため、四国遍路の旅に出たが、その旅の途中村落に鎮座する荒廃した神社、寺院の姿を見るにつけ、敬神崇祖のわが民旅の精神の荒廃を想い、この時こそ、前記宗教帰一の大精神を宗教界に活かし、その助け合い運動によって、先ず宗教界の復興を図らねばと決意し、被控訴人の役員、信徒と協議を重ねた結果、「太子講」という名の講運動を展開して、講員の物心両面の復活を図りながら、同時に被控訴人に寄せられる奉賛金をもって、各地の講員のお護りをする神社、寺院の修復、再建のための援助資金に充てようとの発願から、同年九月に「太子講」を発足させ、その後に「大師講」を発足させたのである。しかし、翌五三年一〇月に無限連鎖講防止法が公布され、翌五四年五月から施行されることになったので、本件各講の活動ができなくなり、活動期間が短かかったため、志半ばにして頓挫してしまったのである。

(三) 本件各講加入時に先輩講員へ送金することは、その先輩講員を助けることであり、後輩講員ができ、ランクがあがることによって、後輩講員から送金を受けることは助けられることである。これを反復継続することによって、講員相互間の助け合い運動ができ、西村展蔵の説いた前記思想が実践に移されるのである。

そして、加入者から被控訴人に寄せられる奉賛金をもって、前記のとおり、神社等の再建救助資金及び講員が事故、災害等に見舞われた場合の当該講員に対する見舞金の支払に充てようとしたのである。

3  勧誘手段の違法性について

(一) 被控訴人のパンフレットなどの説明等には、何らの誤謬もなく、また虚偽的要素も全く存在しない。パンフレットの記載を読んだ場合、普通人であれば、その記載が理想公式を述べたにすぎないものであることを理解しえる筈である。

(二) 本件各講の仕組は、講員である控訴人らが、自ら努力して後輩講員二名の勧誘に成功し、その後輩講員二名が更に各二名宛の後輩講員の勧誘をなし、次々と加入する後輩講員が増えていかなければ規定どおりの送金を受けることができないことになっているところ、この仕組は、通常人であれば、何人にも容易にわかることである。控訴人らは、本件各講へ加入するに際しては、被控訴人の実体、目的、講の仕組等についてのパンフレット等の説明を充分検討し、加入することによる利害得失を判断して自由意思に基き加入したものであることが明白であって、今になって欺罔されたなどと主張して、本訴請求に及んだのは、身勝手も甚だしい。

4  本件各講の加入手続から明白なとおり、先輩講員へ送金する金員については、被控訴人においてこれを受領する権利、権限はないのであって、先輩講員に対する贈与金は、被控訴人の利得たり得ないものである。

5  仮に、入会契約が無効であるとするならば、控訴人らは、自らの不法原因のため給付に関与したことになるから、入会契約に基き拠出した奉賛金等の返還請求はできない。

四  被控訴人の主張に対する控訴人らの認否

1  被控訴人の主張1、3ないし5はいずれも争う。

2  同2のうち、内村健一が昭和四八年一一月被控訴人を設立して代表役員となり、昭和五二年九月に太子講を、続いて大師講を発足させたこと、無限連鎖講防止法が公布、施行されたことは認めるが、その余は争う。

第三証拠《省略》

理由

一  請求原因1ないし4の各事実は、当事者間に争いがない。

そこで、まず不法行為による損害賠償請求について判断する。

1  本件各講の仕組の違法性について

前記争いのない事実及び弁論の全趣旨によれば、本件各講の組織原理は、次のように要約することができる。すなわち、(1) 加入者が贈与金、奉賛金の名称で一定の金銭を支出すること、(2) 加入者が無限に増加することを前提条件としていること、(3) 加入者の増加の形態がいわゆるねずみ算定の増加、すなわち子孫、曽孫とそれぞれ連鎖して二の倍率で増加するものであること、(4) 先順位の加入者は、自己の支出した額を上回る額の金銭を専ら後順位加入者の支出する金銭から受領すること、(5) 講の主宰者である被控訴人は、自ら生産活動を行わず、専ら金銭授受の仲介を行い、奉賛金の名目で金銭を取得することである。

右組織原理を前提として、本件各講の違法性について検討する。

(一)  本件各講は、前述の組織原理からして、理論上、必然的に終局において破たんすべき性質を有している。すなわち、本件各講の原理の中心は、講加入者が段階的に二倍の比率でいわゆるねずみ算式に増加することを前提として、多数の後順位者の支出する金銭を少数の先順位者に集中させることによって先順位者の利益を図るところにあるのであるから、後順位者の連鎖は、無限に続くことを前提としている。ところで、いわゆるねずみ算式に数が増加する場合、わずかの間に天文学的数に達することは自明の理であり、人口が無限でない以上、必然的に加入者が尽き、行き詰りを生じ、破たんを生ずることが必至である。

被控訴人は、再加入を繰り返すことにより、また、加入手続の事務処理に一定の日数を要することから、現実に破たんすることはない旨主張するが、本件各講は、二の倍率で子孫が増えなければ、組織は継持できないから、末広がりに増加した末端段階の加入者の二倍の口数だけ再加入が行われなければ、組織は必然的に破たんするのであって、再加入によって破たんを免れるものではない。

また、《証拠省略》によると、被控訴人の代表役員をしていた内村健一は、昭和四二年から第一相研の名称で、本件各講と同一仕組のねずみ講を始めたが、昭和四六年当時第一相研の常務をしていた訴外緒方敬弘は、例として、五〇〇万人が講に加入するために要する年月につき、日本の現在の郵便機構の下では、一年間に一〇〇万人を処理するのが限度であるから、五〇〇万人の加入事務を処理するためには、五年間かかる旨述べていることが認められる。そうすると、《証拠省略》によると、本件大師講は、原始会員七人(いずれも被控訴人)で始められたことが認められるから、計算上、二五代目で既に日本の総人口にほぼ匹敵する一億一七四四万人余に達することになるが、この一代前の二四代目の会員五八七二万人余の加入事務の処理に要する日数を、右緒方の供述するところに従って計算すると、五八年余になるのである。かかる事態は、本件各講に加入する者の何人も予想しないところであり、かかる事態の生ずることは、とりもなおさず、本件各講の非現実性と欺瞞性を露呈しているものというほかない。

更に、本件各講は、現実的問題としても遅かれ、早かれ、行き詰り現象を生ずることが容易に推認される。なぜなら、本件各講が理論的に破たんするものであることに気付く者が少なくないこと、自ら子会員獲得に努力しない者もいること、努力をしても成功しない場合があること、ある一定の地域では、加入者が増加していわば飽和状態に達し、新加入者を獲得することが困難な事態が生ずるからである。

(二)  本件各講は、別紙講目録(1)記載の五万―五段講の場合、一口五万円の出捐で、四〇万円の収入が得られるように、一定の出捐により、生産や商品流通などを伴うことなく、加入者相互間の金銭の授受という非生産的な手段により、かつ後順位加入者の連鎖の完成という偶然に支配される要因により出捐金の数倍に達する収入を得られる仕組になっているのであって、いたずらに関係者の射幸心をあおり、ひいては、健全な勤労意欲を阻害するものであるというべきである。

(三)  そして、本件各講は、これが破たんした場合、太子講では下二段(その数は、加入者全体の四分の三を超える。)、大師講では下三段(その数は、加入者全体の八分の七を超える。)の会員についてその出捐金の回収が不可能となり、加入者の大部分に経済的損失を与えるものである。

(四)  本件各講の如き無限連鎖講においては、その組織原理上、次々と外部の人間を組織に引き込むことを必要とするものであることから、地縁、血縁その他あらゆる人間関係を利用しての勧誘が行われ、その結果、加入した者について講の行き詰りに伴い、生活の破たん、地域社会、取引関係又は親族関係等における人間関係の崩壊、紛争を生ぜしめるものであり、《証拠省略》によれば、内村健一が第一相研の名称で運営したねずみ講において、控訴人らが請求原因5、(一)、(3)において主張するような種々の社会的問題が現実に発生したことが認められるのである。

以上のとおり、本件名講は、その仕組自体、必ず破たんするものであって、いたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の大部分に経済的損失を与えるに至るものであって、親族、知人間等に人間関係の崩壊をもたらすことなどを考慮すれば、反社会性が著しく、違法なものといわざるをえない。

2  被控訴人の行為の違法性

《証拠省略》によると、次のとおり認められる。

内村健一は、昭和四二年から第一相研の名称でねずみ講を開設したが、年を追って加入者が増加し、全国的規模で広がり、昭和五一年度に加入口数がピークに達した。しかし、他方で内村健一がねずみ講による所得税をほ脱したとして、昭和四六年六月国税当局による査察が行われ、その頃から一部加入者が内村健一に対し入会金の返還等を求める民事訴訟を各地に提起し、また同人に対し詐欺罪による告訴がなされる等して、ねずみ講の不健全性、反社会性が社会的に表面化するに至った。そして、長野地方裁判所は、昭和五二年五月三〇日、内村健一に対する加入者の講入会金返還請求訴訟において、ねずみ講の入会契約は、民法九〇条の公序良俗違反により無効であるとして、原告の請求をほぼ認容する判決を言い渡し、同判決は、全国的に大々的に報道された。また、国会においても、ねずみ講問題が取り上げられ、昭和五三年一〇月一八日無限連鎖講防止法が講員立法により成立、同年一一月一一日公布され、翌五四年五月一一日から施行された。更に、昭和五三年一二月一九日、静岡地方裁判所は、第一相研のねずみ講は、民法七〇九条の不法行為に該当するとして、内村健一に対し入会金のみならず、先輩会員への送金分についても損害賠償を命ずる判決を言い渡した。

これら一連の動きは、内村健一が第一相研の名称で主宰していた各種ねずみ講に大きな影響を与えた。ちなみに、昭和四七年から同五二年までの右講の年間加入口数の推移を見ると、昭和四七年から同五一年までは増加の一途をたどり、同年には、約三〇万口に達したが、前記長野地裁の判決があった昭和五二年には、約一二万口に激減した。そして、内村健一は、昭和五二年九月第一相研の名称で運営したねずみ講の事業により取得したほとんどすべての不動産、動産のほか、金一六億円を、会員からの責任追求と課税を免れる目的で、宗教法人である被控訴人に無償で譲渡し、その頃、被控訴人を主宰者として本件各講を開設し、運営するに至った。

しかして、《証拠省略》によると、本件各講の最後の加入者があったのは、無限連鎖講防止法の施行直前の昭和五四年二月頃であるが、本件各講の開設以来の総加入口数は、約八二〇〇、被控訴人が取得した奉賛金及び贈与金は、約一億五〇〇〇万円に過ぎなかったことが認められる。

控訴人らが本件各講に加入したのは、昭和五二年一一月から同五三年八月までであるところ、右の時期は、内村健一のねずみ講が最盛期にあった昭和五一年から本件各講への加入者が途絶えて終息した昭和五四年初め頃にかけて、ねずみ講が急激に衰退して行った期間に当たっており、この時期に加入した者にとっては、後続会員を現実に獲得することは以前にも増して困難な客観的状況にあったと認められる。

ところで、《証拠省略》によると、控訴人甲田松子は、知人の勧誘により別紙講目録(2)記載の講に加入したが、右講が行き詰るようなことは毛頭考えておらず、出捐金を回収した上、満額金を獲得しうるものと考えて入会したことが認められ、他の控訴人らにとっても、加入の状況は、右と同様であったと推認される。

しかして、被控訴人の当時の代表役員として、本件各講を企画立案した内村健一は、ねずみ講が急激に衰退し、破たんに向いつつあった当時の客観的状況を知り、少くとも知り得る立場にあったものと認められる。

しかるに、《証拠省略》によると、被控訴人は、本件各講のパンフレットに「人口に限りがあると思うかもしれないが、加入の事務手続に相当の日数がかかり、現実に子供が次々に生れ、人口は、将来に向って無限であり、最後ということはないし、一人で何口でも加入でき、また再加入、再々加入することにより、講員のつながりは、大きな輪になって無限に続くものであるといえる。」と記載していることが認められるが、本件各講が人口増加、加入事務に要する日数、再々加入などの事情を考慮に入れても、終局において必ず破たんするものであることは、前述のとおりであって、被控訴人は、この点を隠蔽し、加入者を欺罔して本件各講を運営したものといわざるをえない。

8 以上によれば、被控訴人の代表役員内村健一は、本件各講が終局において破たんすべき性質のものであり、いたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の大部分に経済的損失を与えるもので、反社会性が著しく、違法なものであるのに、これを開設して運営し、その運営に当たって、人口は無限であり、講は無限に続くなどと欺罔的な宣伝を行い、控訴人らは、右宣伝を信じ、本件各講が行き詰るようなことはなく、後輩会員からの送金により少くとも出捐金の回収はできるものと信じて、別紙加入講・送金等一覧表の(四)及び(五)欄記載の先輩会員に対する贈与金及び被控訴人に対する奉賛金を送金し、出捐したものであって、内村健一は、控訴人らが本件各講に入会した当時、控訴人らが入会により、損害を被るべきことを予見し、又は予見しうべきものであったと認めるのが相当である。

そうすると、内村健一が本件各講を開設、運営し、控訴人らを加入せしめた行為は、不法行為を構成するものというべく、被控訴人は、内村健一が法人の代表機関としてした右行為により、控訴人らが被った損害を賠償する義務があるものといわなければならない。

4  被控訴人は、本件各講は、天下一家の思想を実践し、宗教帰一論の理想を実現するために開設したもので、会員間の助け合いを旨とするものであって、違法性はない、と主張するが、本件各講の内容、仕組、開設の経緯等にかんがみれば、右は、ねずみ講の前示実体を隠蔽、糊塗するための単なる修飾的言辞に過ぎないものというほかない。

5  また、被控訴人は、控訴人らは、本件各講の仕組を十分承知して自由意思で加入したのに、後続会員から送金が受けられなかったため損害を被ったとして、損害賠償の請求をするのは身勝手である、と主張するが、控訴人らが自由意思で本件各講に加入したか否かは、被控訴人の行為自体の違法性とは別の問題であって、それによって被控訴人の行為の違法性が阻却されるに由ないものというべきである。

6  次に、被控訴人の不法原因給付の主張について判断する。

前認定の被控訴人が本件各講を開設した経緯、本件各講の仕組及び勧誘手段の違法性、控訴人らが本件各講に加入した経緯、動機等に照らすと、内村健一は、ねずみ講の反社会性に対する非難が高まる中で、昭和五二年九月宗教法人である被控訴人を主宰者として、あえて本件各講を開設し、欺罔的手段を用いて加入者を勧誘し、その運営に当たっているところ、控訴人らは、知人等の勧誘に応じて、本件各講が行き詰るようなことはないものと軽信して入会したものであって、これが反社会性のある組織であるとの意識は低かったものと認められる。したがって、控訴人らの本件各講への加入行為が反社会性を有するとしても、これと対比して被控訴人の側における違法性は、著しく大きいと評価すべきであり、かかる場合には、控訴人らの損害賠償請求を民法七〇九条本文により排斥することはできないものと解するのが相当である。

7  次に、控訴人らが被った損害について考えるに、控訴人らは、別紙加入講・送金等一覧表の(二)欄記載の加入講につき、同(四)及び(五)欄記載の金員を出捐して損失を被ったところ、一部の控訴人らについては、後順位会員から同(六)欄記載の贈与金の送金があったことは当事者間に争いがなく、同控訴人らは、右贈与金と同額の利益を受けているので、控訴人らは、右損失から右利益を控除した金額(同(七)欄記載の金額)相当額の損害を被ったものというべきである。

8  ところで、控訴人らが本件各講が行き詰ることなく続き、有利な利殖ができるものと信じてこれを加入したことについては、責められるべき点があり、軽率のそしりを免れないものというほかなく、被控訴人の賠償額の算定に当たっては、右の点を被害者側の過失として斟酌すべく、控訴人らの過失割合は、本件にあらわれた諸般の事情を考慮し、四割とするのが相当である。

したがって、被控訴人の賠償額は、同一覧表の(七)欄記載の金額の六割に当たる同(八)欄記載の金額となる。

9  そうすると、控訴人らの不法行為に基づく本訴請求は、控訴人らの別紙加入講・送金等一覧表の(二)欄記載の各加入講につき、同(八)欄記載の各金員とこれに対する不法行為後の昭和五五年一〇月一一日から各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は、失当というべきである。

二  次に、不当利得返還請求について判断する。

一の1に説示したところに照せば、本件各講は、反社会性の著しいものであって、控訴人らと被控訴人間の本件各講の入会契約は、いずれも公序良俗に反するものとして、民法九〇条により無効といわざるをえない。

そうすると、被控訴人は、法律上の原因なくして、控訴人ら送金に係る奉賛金(別紙加入講・送金等一覧表の(五)欄記載の金員)相当額の利益を得、控訴人らは、同額の損失を被ったものと認められるから、被控訴人は、控訴人らに対し右奉賛金相当額の不当利得(同一覧表の(九)欄記載の金員)返還債務を負うものというべきである。

控訴人らは、先順位会員に送金した贈与金も被控訴人の利得である旨主張するが、本件各講の前記仕組等に照らすと、右贈与金をもって被控訴人の受けた利得ということはできないから、右主張は採用しない。

更に、控訴人らは、被控訴人は、悪意の利得者であるから、控訴人らの出捐額全額を損害として賠償すべきであると主張するので、案ずるに、民法七〇四条後段の規定は、悪意の受益者は、利得により損失者に損害を生ぜしめたときは、右損害を支払うべき義務がある旨を定めたものであるところ、被控訴人が奉賛金相当額の利得をすることによって、控訴人らに先順位会員に対する贈与金相当額の損害を被らせたものということはできないから、控訴人らは、被控訴人に対し、民法七〇四条後段により先順位会員に対する贈与金相当額の支払を求めることはできないものというほかない。

なお、一部の控訴人らは、後順位会員から贈与金の送金を受けているが、これは、控訴人らと後順位会員との間で授受されたものであるばかりでなく、不当利得として後順位会員に返還すべき性質のものであるから、右贈与金の送金があったことをもって、被控訴人の不当利得返還債務を減ずべき筋合いではないというべきである。

被控訴人は、控訴人らの給付は、不法原因給付であるから、不当利得の返還請求はできない旨主張するが、前記一の6記載のとおり、控訴人らと被控訴人の不法性を対比した場合、後者のそれが著しく大きいことにかんがみ、被控訴人は、不当利得返還債務を免れることはできないものと解するのが相当である。

そうすると、控訴人らの不当利得に基づく本訴請求は、被控訴人に対し、別紙加入講・送金等一覧表の(九)欄記載の金員とこれに対する、不当利得返還債務の支払を求める控訴人らの昭和五九年五月二四日付け訴え変更申立書が被控訴人に送達された日の翌日であることが本件記録上明らかな同月二五日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余は失当というべきである。

三  控訴人らは、本訴において、不法行為による損害賠償請求と不当利得返還請求とを選択的に申し立てているので、別紙加入講・送金等一覧表の(二)欄記載の控訴人らの各加入講につき、同(八)欄記載の金員と同(九)欄記載の金員を比較し、金額の大きい方の金員(別紙請求金額・認容金額一覧表の認容金額欄記載の金員)とこれに対する遅延損害金の支払を認容((八)欄記載の金員については、不法行為による損害賠償請求として、(九)欄記載の金員については、不当利得返還請求として認容)すべきものである。

よって、控訴人らの本訴請求は、被控訴人に対し、控訴人甲野春子、同甲田松子がそれぞれ不当利得返還債務として金一万円及びこれに対する昭和五九年五月二五日から各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の、右控訴人らを除くその余の控訴人らがそれぞれ不法行為による損害賠償として別紙請求金額・認容金額一覧表の認容金額欄記載の金員及びこれに対する不法行為後である昭和五五年一〇月一一日から各支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので認容し、その余は、失当であるから棄却すべく、控訴人らの請求を全部棄却した原判決は、不当であるから、これを右のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条、九二条、九三条、仮執行宣言につき同法一九六条を各適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 村上博巳 裁判官 弘重一明 裁判官高升五十雄は、転補につき署名、押印できない。裁判長裁判官 村上博巳)

〈以下省略〉

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